ART-SCHOOL 『ILLMATIC BABY』

ILLMATIC BABY

ILLMATIC BABY


ベストアルバムと同時発売の1年ぶりとなる新作ミニアルバム6曲入り。前作『左ききのキキ』がやや重めの音で攻撃的だという印象なら、今回はいい意味で裏切られてポップで聴きやすい。


新境地と感じたアルバム『Flora』を聴いたときと似ているけれど、あちらがゆるやかに音楽性などが広がっていった作品だとすれば今作はもっと一点に突き抜けている。それもいろんな方向に、放射状に。光の反射みたいに、キラキラと、まぶしく。


ドーパンのロックスター(DOPING PANDA・フルカワユタカ氏)プロデュースの表題曲「ILLMATIC BABY」はエロくてダンスミュージック風の音作りが癖になる。「光は今君の中に」はメロディがとても美しい名曲。本当にきれいな曲で涙ぐみそうになります…。


「夜の子供たち」はメロディも歌詞もお気に入り。天使たちの吐息/アンドロイドの精子/配列された素粒子キューバの娼婦の涙。全曲好きで、ひたすらリピートしてます。



ART-SCHOOLは新譜を発表するたびにレビュー等でもうこのバンドは終わったなどといわれるバンドだ。初期の方がよかった、音が軽くなった。ひりつくような焦燥感がなくなった。そんな感想を目にする。否定はしない。変化したのは事実だからだ。けれど、終わったとは思わない。いつまでも同じところに留まり続けるのもいいだろう。


でも自分はこのバンドが歩んでいく軌跡を見たいと思う。進んでいくその先にある音を聴きたいと思う。希望を、絶望を、そのなかにきらめく光を感じたいと思う。たとえそれが最初に自分が彼らに望んだものでなくても。


ところで下北沢の駅近くに大きな『Flora』の宣伝看板があるんですが木下の顔の横に落書きがしてあるですよ。→きのこって。見るたびにリッキー愛されてるなぁとほのぼのします。

(※きのこ…ARTのフロントマンである木下理樹某巨大掲示板周辺における通称。いやむしろ愛称。由来は髪型とキャラ的に胞子をとばしてもおかしくなさそうなところだと思われる)