ルル・ワン『睡蓮の教室』
- 作者: ルル・ワン,鴻巣友季子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/10/28
- メディア: 単行本
- クリック: 22回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
寒々とした革命下の荒野に禁断の友情がひっそりと花開く。
と、裏表紙に書いてありました。少女が主人公だとも書いてありました。そうかこれは百合なんだな…!と思って手にとりました。重い…!分厚いっていうより重い。ハードカバー600ページ。
1972年、文化大革命下の中国で、12歳の水蓮は母とともに『再教育施設』に入所する。そこに収容されていた知識人たちを教師とし、枠にとらわれない贅沢な教育をうける。
学校に戻った彼女は、まずしさとその頑固な性格ゆえにいじめられっ子な同級生・張金を学年最優秀生徒にするべく手助けするが――というお話。
130ページくらいまで読んだところではたと気づきました。あれもしかして、禁断の友情というのは、ここでいう第一階層(カースト)のお嬢様と、第三階層の貧しい子が身分の差をこえて仲良くすること=この時代の中国においての禁断。なのではないかと。
うわぁ…すごい恥ずかしい勘違い…これだからオタクはやだよねごめんなさい…!と謝りつつも150ページまで読んだら章タイトルがこれでした。
同性を愛するひとたち
いやいや、これは再教育施設において水蓮の歴史の教師である秦先生(70歳くらいのおじいちゃま)が副医師(中年男性)を愛しているのじゃ、というシーンなのです。感動してる水蓮がかわいいのです。でも、
金はいま、なにを考えているんだろう? 強く念じれば、こっちを向いてくれるかも! 金、わたしはいますごく怖いよ。もし金が……わたしたちが……勝てなかったら、わたしたちどうやって立ち直ればいい? 不安にかられながらも、わたしはもてる力のすべてを金にあたえたかった……金がその機会をくれさえすれば。こっちを一瞬でも見てくれれば。この顔を一瞥してもらうだけで、いまの気持ちを伝えるにはきっとじゅうぶんだ――そう、生霊みたいになって、彼女のそばに飛んでいき、天使みたいに宙に浮きながら、彼女の耳にこうささやきたかった。金のこと大切に思っているよ、どんなに離れていても、心のなかでいつも思っている……。(睡蓮の教室 334ページから引用)
これ、もう百合でいいんじゃないかなぁ。