『恋愛睡眠のすすめ』



エターナル・サンシャインを観賞したときも思ったのだけど多分自分はこの監督ミシェル・ゴンドリーと相性が悪い。


興味深いし作品があれば観るし、いまはPV集(彼はアーティストのPVで有名な人だ)がとても気になっているのだけど、なぜか映画はおもしろく感じない。作品の評価は高いし好きだという人はたくさんいるから、純粋に相性と自分の問題なのだと思う悲しいことに。


現実では失敗ばかり、恋も仕事もうまくいかない日々。メキシコからパリに引っ越してきた青年が、隣人である女性にふられ、「そうだ、彼女とのしあわせな夢を見よう」――と夢を調合する。夢で逢えたらのしあわせな日々。だがしだいに夢と現実の区別がつかなくなり…というちょっと不思議なラブストーリー。のはずだった。


自分には“統合失調症、もしくは脳障碍の一種で幻覚・幻聴が見え聞こえし、夢と現実の区別がつかないというよりも、うまれながらそういった、他人から見れば夢のような無秩序のなかで自分なりの秩序を持ち生きている青年”の話にしか見えなかった。


それは作品内では明確に提示されない。ほのめかしから推測しただけで、そういうふうにもとれる、程度でしかない(となりのトトロのさつきとメイは作品途中で亡くなっているとかそういう都市伝説レベルだ)


だからこそ、よけいになんとなく怖い。前出の病が怖いのではなく主人公以下誰も登場人物がそれに気づかず(もしくは気づいていてもはっきりとはいわず)ストーリーが進んでいってしまうのに背筋が少し寒くなった。


何があれかといえば本作品をファンタジックでキュートな恋愛映画として売り込んだ広報がいちばん怖い。予告にだまされたorz